インタビュイー:CMO 田中翔理
※本記事は、外部パートナーである株式会社SHABELが第三者の視点から客観的にレディクルを取材・執筆したものです。
サービス誕生から16年。ビジネスマッチングサービス「Ready Crew(レディクル)」は、年間取扱予算総額1,100億円を突破しました。
この成果は、AI技術によるデータ分析、専門性の高いコンシェルジュ*1によるきめ細やかなサポート、そして質の高いマッチングを生み出す仕組みが重なった結果です。一つひとつの出会いを大切にし、お客様との信頼を積み重ねてきた軌跡でもあります。
なぜレディクルには、年間取扱予算総額1,100億円ものビジネス相談が集まるのか。本企画「レディクル大解剖」では、その答えを探ります。レディクルを牽引する4名のキーパーソンにインタビューし、それぞれの視点からその秘密に迫ります。
第1弾ではレディクルの経営戦略を担う常務取締役 CMOの田中翔理氏に成長戦略の観点で取材しました。田中氏は「1,100億円は通過点にすぎない」と語り、さらに先の未来を見据えて組織の進化に挑み続けています。
本取材では、“見えないビジネスインフラ”として築かれた同社の実態に迫り、「年間1,100億円以上を動かす日本最大級ビジネスマッチングサービス」の全貌を解き明かします。
*1. コンシェルジュ:発注企業の課題をヒアリングし、解決方法やそのための支援ができる外注先企業を紹介する専門担当者。
目次
1.競合他社にない3つの優位性
2.独自収益構造の仕組み~感情労働とAIの共存~
3.AI市場拡大に伴う成長ポテンシャル
4.2027年、売上100億円への戦略
5.社会インフラとしての使命
年間1,100億円規模の流通額を生み出すレディクル。その市場における強みはどこにあるのでしょうか。取材を通じて見えてきたのは、16年にわたり積み上げてきた独自の基盤と、他社が容易には模倣できない3つの優位性でした。
第一の優位性は、プル型アプローチを軸としたオフライン営業です。オンライン集客中心の競合サービスとは異なり、案件の8割をオフラインで獲得しています。紹介やカンファレンス、展示会などを通じて顧客と接点を持ち、オンライン経由の案件は課題を丁寧に把握したうえで商談を始めるプル型スタイルを徹底。
田中氏が「一般的な営業代行サービスは、『自社の商品やサービスを販売してほしい』という販売元の依頼から始まるケースが多いが、レディクルの場合は販売先となるお客様のニーズを起点とした営業支援を行っている。」と語るように、競合サービスとは一線を画す優位性を確立しています。
第二の優位性は、労働集約型であるがゆえの参入障壁です。人材を集め、マネジメントし、組織を拡大させる仕組みを持つことは容易ではありません。レディクルでは採用マーケティングに注力し、大手企業と同等の母集団形成を実現。高倍率の採用を維持することで、テレアポを担える人材を効率的に確保しています。これにより「人材獲得の難しさを乗り越えた構造」が築かれているのです。
第三の優位性は、人材配置とマネジメントそのものを事業価値の中核に据えている点です。田中氏は「営業は人に依存しても良い。私たちはこのスタイルを“感情労働”と定義している。お客様に寄り添うコンシェルジュこそがサービス価値になっている」と述べています。実際、受注を目指す企業にはコンサルティング要素を、発注を希望する企業にはヒアリング要素を重視するという役割分担があり、その実行を支えるのが人材です。たとえば、営業伴走には経験豊富な人材を、ヒアリングには傾聴力の高い若手を中心とした人材を配置するなど、過去の実績に基づいた人材戦略を構築してきました。役割に応じた最適な人材配置が、他社にはない優位性を支えています。
レディクルの収益は、単なる固定費や商談単価の積み上げで語れるものではありません。その中核にあるのは、人にしか担えない“感情労働”としての営業です。コンシェルジュは発注企業の課題を丁寧にヒアリングし、最適な外注先を提案します。単なるマッチングにとどまらず、受注確度を高めるプロセスそのものがサービスの価値となっています。
この“人”の力を最大化するのがAIの活用です。過去の取引データや市場情報を分析し、営業が注力すべき案件に優先順位を付けます。AIが数値と傾向を提示することで、営業は顧客対応に専念でき、その結果、高品質かつ大量の案件獲得が可能となります。
田中氏は「AIだけでも、営業だけでも成果は限定的。両者を組み合わせることで、案件獲得の精度と規模を同時に高め、持続可能な収益モデルを実現している」と語ります。
収益構造は、シンプルでありながら精緻に設計されています。外注先企業*2 から初期費用30万円、月額30万円の固定費と商談1件あたり5万円をいただく収益モデルを採用しており、この仕組みを成り立たせる上で欠かせないものが発注企業*3 とのバランスです。レディクルでは紹介数や発注企業と外注先企業のバランスを保つことこそが、サービスの品質と信頼性を守る要にもなっています。
一方、AI関連のようにニーズが急増する分野では、発注企業だけでなく外注先企業も拡充が必要です。この比率は単純に1:1で成立するものではなく、適切なバランスを保つためには人材育成や営業活動を含むきめ細やかな調整が必要です。
田中氏は「どちらか一方だけが伸びても収益には直結しない。両者の成長を同時に管理し、快適なサービス設計を維持することが大切だ」と強調します。
レディクルの収益モデルは、単なるマッチングではなく、発注企業と外注先企業の双方を丁寧に調整することで、質の高いサービスと持続的な成長を実現しています。
*2. 外注先企業:レディクルを介して仕事を請けたい企業。受注企業。レディクルにとってはクライアントに当たるが、ビジネスマッチング上はベンダーに当たる。
*3. 発注企業:レディクルを介して仕事を依頼したい企業。レディクルを通して発注先の紹介を希望する企業。
田中氏は「近い将来、AI案件は全社的なニーズとなり、市場規模は現状の10倍、1兆円規模に拡大する可能性がある」と示唆します。そのうえで、「高品質な案件の確保と営業力の向上こそが、取扱予算の拡大を確実にする」と強調します。
現状では、多くの企業でAIに対する明確な予算はまだ設定されていません。しかし、今後はAIに専用予算を確保する企業が急増し、市場は急速に拡大すると見込まれます。田中氏は「AIの案件が広がれば、特定部署のニーズにとどまらず、企業全体で必要とされるものになる」と語り、AIが持つ営業拡大のポテンシャルを指摘します。
さらに、レガシー業界やDXが進んでいない分野においても、政府の補助金やコンサルティング支援を通じてAI導入が進み、市場規模拡大の下地が整いつつあります。
こうした潮流を踏まえ、田中氏は「取扱予算総額1兆円」の実現を展望しているのです。単なる案件数の積み上げではなく、高品質な案件の獲得と営業リテラシーの向上を通じて、その成長を確実なものにしようとしています。
実際にレディクルは、「お客様(クライアント)のために仕事をする」という方針のもと、原則、100万円未満の案件は受けないという意思決定を行いました。この判断により、大規模案件の獲得と営業力の向上を進め、AI案件の拡大がもたらす市場成長の波を確実に捉えようとしています。
レディクルが掲げる2027年の売上目標は、「100億円」です。
田中氏はその理由について、「社会の大動脈となる案件供給のインフラを構築することが、私たちのビジョン。10億円では存在感は十分に示せないが、100億円であれば、社会にとって不可欠な存在になれる」と語ります。つまりこれは、単なる数字目標ではなく、企業としての使命感と社会的インパクトを示す指標でもあります。
一方で、顧客数の現実的な上限についても冷静に見極めています。国内における発注企業の母数には限りがあり、長期的に継続利用する企業は自然と一定の規模に収束していくと田中氏は捉えています。実際に、新規企業の利用は着実に増えているものの、爆発的な伸びを見せているわけではなく、再利用する企業も少なくありません。こうした状況を踏まえ、レディクルは市場の成長スピードを現実的に把握しながら戦略を描いています。
こうした限界を見据え、田中氏は次世代のビジネスモデルとして、高付加価値サービスの拡張、いわゆる“VC化”戦略を掲げています。低単価商材だけでは100億円達成は難しいため、スタートアップ支援、投資、M&Aサポートといった高付加価値サービスを強化することで、企業の成長から得られるリターンがレディクルの売上に直結する仕組みを構築しようとしています。
具体的には、年間10〜15社を対象に1,000万円規模の投資を行うことを目指し、次なる成長ステージに向けた準備を着実に進めています。
「自分が起業したときに、最初に使いたいサービスを作りたい」と田中氏は語ります。
日本の中小企業やスタートアップにとって、営業や案件獲得の難しさは依然として大きな課題です。田中氏は、その課題に対する解決策を提示し、新しい挑戦を支えられるプラットフォームとしてレディクルを位置づけます。
レディクルは単なるマッチングサービスではなく、起業家や中小企業の挑戦を支える「社会インフラ」としての役割を果たすことを目指しています。「レディクルを通して月に50件以上の案件、数件の商談が提供できるので、新しい挑戦や新しい会社を支えられるサービス、市場を作りたい」と田中氏は続けます。
さらに、田中氏は、レディクルの実績を通じて会社の成長や社会的影響を正しく伝えることの重要性も強調します。「特定の領域に強いというよりも、どのようなコラボレーションが起きているかにフォーカスして説明したほうが良い。上場企業同士の本質的なマッチングが行われており、普通のマッチングプラットフォームでは実現できないマッチングがされている──そんなブランドを想起させたい」と語ります。
レディクルは単なる営業支援ツールを超え、起業家や中小企業の成長を後押しする社会インフラとしてのさらなる進化を見据えています。日本の起業家がより大胆に挑戦できる未来は、レディクルの普及にかかっていると言っても過言ではありません。
16年の歩みで培った「見えないビジネスインフラ」としての信頼、緻密に設計された収益モデル、そしてAI案件を起点とした次の成長戦略──レディクルの強みは、数字以上に仕組みと人材、そして社会的使命に支えられています。
田中氏が描く未来は、単なる営業支援を超え、中小企業や起業家の挑戦を後押しするプラットフォームとして、日本のビジネスシーンに欠かせない存在となることを目指すものです。年間1,100億円という成果は、その可能性の一端に過ぎません。今後、レディクルがどのように社会インフラとして進化し、企業活動の新たな選択肢を広げていくのか。さらなる歩みに期待が寄せられます。
レディクルは、上場企業2,800社の利用実績がある企業と企業をつなぐビジネスマッチングエージェントです。高い傾聴力・提案力を併せ持つコンシェルジュが、システム、プロモーション他、企業のあらゆる発注業務に関わる悩みをヒアリングいたします。伺った内容を元に、レディクル独自のシステムで幅広いネットワークの中から最適な企業をご紹介いたします。外注先となる企業様からのみ費用を頂いており、発注元の企業様からは一切費用を頂いておりません。
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